結成20周年記念委嘱作品「チュチュの夢」(新井千悦子 作曲)

結成20周年を記念して新井千悦子先生に作曲していただき、2019年9月14日「響屋のお楽しみ袋 Vol.17」で初演しました。

 

響屋と新井先生は、2008年に「上海スクエア」を演奏した際に直接ご指導いただいた時から、楽譜の申し込みなどを通じて度々交流していました。結成20周年の曲を書いていただくことを決めた時、響屋のことを知ってくださっている方、そして何よりも旭川出身であることから、新井先生にお願いしました。

 

楽曲は、全3楽章で約11分。編成はクラリネット5重奏(B♭×5、Bass)を基本として、E♭、Alto、C.Altoも加えて8重奏でも演奏可能なように作っていただきました。

♪新井先生からの曲紹介(響屋のお楽しみ袋 Vol.17 プログラムより)

 

「響屋結成20周年」誠におめでとうございます。この度、記念の曲を書かせていただき、大変嬉しく思います。

「響屋」といえば「小人」のイメージキャラクターを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。私にとっても、この可愛らしく、多くの人に愛される「小人」はとても大切なものに思えました。タイトルの「チュチュの夢」の「チュチュ」は、この小人たちです。

 

北海道では「小人」といえば、「コロポックル」や「ニングル」が想像されるかと思います。そこから、各楽章のタイトルには「アイヌ語」を用いてみました。

 

・一楽章「Upas」

「ウパシ」とか「ウパス」と読むようです(難しいですね) 

「雪」という意味ということで、冬の厳しさ、美しさをイメージしました。最初に提示され、そして全体を通して出てくる短いモチーフは、「アイヌ民謡」から引用したものです。和声の変化などで膨らみを持たせてみました。

 

・二楽章「Emawri」

「エマウリ」は「野イチゴ、木苺」のことだそうです。これは割と日常に馴染んでいる単語かと思います。(ジャムやワインの名前に使われたりしていますね) 憂いを感じる、やさしいメロディーになるようにと思い、作りました。

 

三楽章「Kanto」

「カント」は「空、天空」の意味だそうです。小人が厳しい自然を生き、たくさんの冒険を経て、素晴らしい未来へ進んでいくイメージです。明るく楽しい終曲をめざしました。

※2019年9月 響屋のお楽しみ袋Vol.17での演奏(初演・音声のみ)

※2019年11月 第4回十勝クラリネットフェスティバルでの演奏(第1、第3楽章)

※2022年9月 響屋のお楽しみ袋 Vol.18での演奏

(5重奏版全曲・一部のパートをAlto Clに置き換え)

♪作曲者紹介

新井 千悦子(あらい ちえこ)

北海道、旭川市出身。国立音楽大学卒業。クラリネットを村松時雄、大橋幸夫両氏に師事。

1997年、吹奏楽コンクール課題曲で最優秀作曲賞である「朝日作曲賞」を受賞。(マーチ「ライジング・サン」)

翌1998年、同コンクール課題曲、入選。

現在、吹奏楽やアンサンブルを中心に多数の作、編曲作品(各演奏団体への委嘱作品を含む)を手掛けている。

 

録音では「華麗なるクラリネットアンサンブルの世界」(演奏・東京クラリネットアンサンブル)シリーズや「スーパー・バスクラ」等のCDに作品が数曲収録されている。また「Emozione」「Rain Dance」の楽譜は「ブレーン株式会社」から出版されている。